ささくれ備忘録

主に乙女ゲームの感想・考察を書いています。

SRX(スカーレッドライダーゼクス)ユゥジ 感想

共通パートの長い乙女ゲームで尚且つ攻略も3人目ともなると大分手慣れたもんで、結構新鮮みが薄れてくるというかダレてくる傾向にあるとは思いますが私は割と楽しめました。まあ元々共通パートが長くてシナリオは金太郎飴とは聞いてましたし、そこらへんはクインロゼでかなり鍛えられたので別に平気だった。滞在場所を変える度に同じような説明を別の人から聞いたり、まさしく金太郎飴なシンデレラを既に経験していたので・・・・・・。それを考えると別の√でも一度経験したやつはスキップ出来るSRXは親切だな、とか思ったり。

そんなこんなで攻略したユゥジだったんですが、いや~~今までやってきたヒロやカズキとはまた違う感じで面白かった。最年長というだけあって(?)、プロポーズ紛いのことを何度か言ってきたりだとか結婚を匂わせてくるのが新鮮でした。まだ3人しか攻略していないので断言は出来ませんが、スカーレッドライダーゼクスの中で一番ってくらいに糖度は高めなんじゃないだろうか。なんというか、一番恋愛してる!感は強かったなあ。最初はからかい混じりに甘い言葉を囁いてくるんですが、段々と本気っぽくなるんですよね。そういうユゥジの変化みたいなのは、やっていてかなり良いと思った部分です。

そんな訳で、3人目・ユゥジを攻略した感想。

以下、共通・個別共にネタバレがあります。

スカーレッドライダーゼクス応援中!

津賀ユゥジ。ユゥジの「ウ」は親の拘りで小さい「ゥ」らしい。声は近藤隆さん。昔からよく聴く声ではありますが、何気に近藤隆さんが声やってるキャラクターを攻略するのって初めてかもしれない。戦闘パートでの熱演が最高で何度もログで聴いた。

第六戦闘ユニットでも最年長の21歳で、皆の兄貴分みたいなポジション。教官としてやって来たアキラに対しても、最初は気の良い頼れるお兄ちゃん、てな感じで接してきます。まあプレイヤーである私からしたらもう年下なんですけど・・・・・・。

ユゥジの第一印象は概ね「大らかで気さくなお兄ちゃん」で合っているとは思いますが、やはり彼にもギャップの部分というか、表面だけでは分からない本質が勿論あって、それが一番最初に見えるのは教官として挨拶する前にユゥジ・ヒロ・カズキの3人と遭遇するイベント。私、これを見たのって2周目のカズキを攻略しているときが最初だったんですが、思いも寄らないユゥジの塩対応に驚いてしまいました。いやだって、1周目のフレンドリーに接してくるユゥジしか知らなかったので、めちゃくちゃ意外だった。まあ、ヒジリ参入のときにああいう反応をするので、それを踏まえるとそこまでおかしいことではないのかもしれない。

なんというか、懐に一度でも入れたら優しくしてくれるんですけど、その反面部外者に対しては当りがやや強めな感じ。良くも悪くも「家」意識が強いというか。

この時点でユゥジが思っていたほどは分かりやすい人じゃないし全てに優しくもない、ということが判明して私のテンションが上がりました乙女ゲーム、ただの素直ないい人よりはいくらか屈折した面倒な男の方が攻略するの楽しいですよね。

ユゥジは、「家族」や「仲間」というものを人一倍大事にしているんですけど、だからこそそれが傷付けられたとき、失いそうになったとき、怒りと共に計り知れない程の力を発揮します。だから彼の紅エンドでも青エンドでも、この部分は一貫して変わらなくて、「大切な何かを守る為に強くなる」タイプです。大切なものが掌から零れ落ちてしまったときに、自分の無力さに打ちひしがれるのではなく、守り切れない自分に対しての怒りを抱く。大事なものを失ったとき、自分は守れたはずだった、守る為の力があるのに守れなかった、と人一倍自分を責めます。それはただ責任感が強いとかだけじゃなくて、やっぱりユゥジ個人の考え方とか、あとは長男だってことも関係あるんだろうな。「家」意識が強いうえに長男なので、家長として守るべき、みたいに思っていそう。こういう男が好きかどうかは人の好みによるとは思いますが、一緒になった後すごい幸せにしてくれそうだしくっついてからのビジョンがはっきり見える感じはする。

ユゥジって結構戦闘中とかでもアキラに対して軽口を叩いてきて、「お姫様」って呼んでへりくだって見せたり、哨戒任務でも「夜のデート」とか言ったり最後アンカー打つときに任せると「ご指名ありがとう。俺とのダンスをご希望かな?」なーんて言ってくるというキザな一面があるんですが、そういうやりとりが滅茶苦茶楽しくて好きでした。それに対するアキラも、最初は翻弄されがちだったのが慣れてくると軽くあしらったり。このゲーム、尋常でないくらい選択肢が多くて全部の反応を回収しきれないんですが、ユゥジの選択肢は気になるやつがありすぎてほとんどセーブとって全パターン見ました。基本大事な選択肢以外ではセーブしない派なんですが、そんな私が珍しくめちゃくちゃセーブをしまくった。

私にセーブさせたユゥジの三択たちの一例。

f:id:sasakure_M:20200514212140j:plain

f:id:sasakure_M:20200514212156j:plain

f:id:sasakure_M:20200514212206j:plain

左ハンドルだけはネタ的な感じで気になったんですが、選択肢別のユゥジの反応がこれまた良いんだわ。個人的に面白いな、と思ったのは画像2枚目のイベントで、これ「怒るよ!」を選ぶと割とあっさり引いてくれて、線引きしっかりしてるというか何処までならいいのか距離を測ってそう・・・・・・という感じで責任~を選ぶとあくまで今はそこまで本気じゃないのかなって反応が見られる。で、唯一テンションが2つも上がるのが「困るよ」ってアキラが言うやつなんですよ。テンションしっかり2つも上がって「思わず本気になりそうだ」ってユゥジが言ったとき、はあ~~~~~~~~ッ!?って声が出てしまいましたね・・・・・・翻弄すな。妹みたいだとか言ったその口でそんなお前も好きだぜとか軽~く言えちゃう男、津賀ユゥジ~~~ッ!!

私のテンションが少々おかしなことになりましたが、まあそんな感じでユゥジは他と比べると恋の駆け引き的なやり取りが多くて楽しめましたね。あと、こうグイグイ来る割には肝心の本音をなかなか言えずに冗談で包み隠すタイプなんで、そういうとこが滅茶苦茶ずるい。ただ、あることをきっかけに吹っ切れてからは、直接愛の言葉をどストレートなまでに伝えてくるようになるので最早やっているこっちが照れまくりました。ハコダテがもうね、ユゥジの独壇場すぎて・・・・・・あと故郷だからなのかユゥジのイベントだけ他の人より長くなかったか!?外堀を埋めてこようとしないで欲しい。

日常パートのユゥジのヤバさを語りましたが、個人的には戦闘パートでのアキラの指令に反発しがちなガチ切れユゥジもめちゃくちゃ好きなんですよね~。ヴォクス囮にする作戦のときに、ユゥジが滅茶苦茶激怒して「作戦変更を具申するぜ!応答しやがれ!」って言うやつ。この台詞が好きすぎて、毎回しっかり聴いてる。普段こういう物言いをしないので、こうやって言葉が荒れるのが貴重です。グランバッハとの対面時、「お見知りは置かずにほっぽり投げさせてもらうぜ。テメーはここでジ・エンドだ」もキレッキレで最高でした。

彼は多分、自分の守りたいものが手を離れることを許さないし許せないんだろうな。だからアキラには自分が守れる範囲にいて欲しいし、危険な作戦にも滅茶苦茶反対する。自分の手の中にあるものを取りこぼすことなく全て守りたいし、零れ落ちたとしても即座に拾い上げようとする。戦いにおいてはその甘さは命取りなのかもしれないけど、そこがまたユゥジの良さでもあるように思いますね。大切なものは自分が全て守りたい、という強い意志があるからこそ全てを守れるくらいの強い力を欲する。その結果が紅エンドであり青エンドなのだと思うと、なかなか面白いです。

スカーレッドライダーゼクスI+FD ポータブル応援中!

そんなユゥジのパートナー、サブスタンスのディバイザー。声が小山力也さんなので滅茶苦茶迫力と貫禄がある。実際にナイトフライオノートの中でもなかなか偉い立場にいたりしたんじゃないだろうか。ユゥジとのレゾナンス時、ハモってる声がめちゃくちゃ合ってて、聴いててかなり気持ちいいです。正直、第六戦闘ユニットの中では一番声質が合っているコンビだと思う。

常に尊大に振る舞うので「近う寄れ」「申してみよ」とか芝居がかった喋り方をするんですけど、それが妙にすごく合っている。まさに皇帝という感じで、王者の風格みたいなのが漂ってます。この世の全ては自分のものっていうジャイアニズムを持っていますが、だからこそ自分のものは自分で守る、という考え方。支配者としての王の器が出来すぎていますね。

浸食されたユゥジはほとんどディバイザーと同じで、自信に満ちあふれた尊大で小難しい喋り方をしますが流石に一人称は「俺」のままです。いくらユゥジが年長者で年増扱いされようとも、一人称が「儂」はね・・・・・・。

インスタンスとサブスタンスが選ばれる経緯がいまいち分からないんですが、おそらく似た性質の者同士ではあるのかなー、と個人的に思っていて。だから、ユゥジの「自分の手の中にあるものは全て自分が守る」というある意味で傲慢なところはディバイザーの「この世の全ては自分の所有物なのだから、何人たりとも所有物を傷付けることは許さん」的な考えと通ずるものがあるよなあ、とか考えたり。

 南から北へ、風の中

人格が完全にディバイザーに浸食される紅エンド。このタイトルの意味、単純に考えたらリュウキュウからハコダテってことなのか。うーん、分からん。そういえば、ヒロくんのときから薄々そうかなーとは思っていたけど、サブタイトルの英語は実在のロックバンドの曲名とかが元ネタなんですかね。全部終わらせたら、とりあえず分かる範囲で自分用にまとめてみようかな。ダムドの曲は劇場に3回も足を運んだくらいにハマった「ベイビー・ドライバー」という映画に登場する「ニートニートニート」という曲しか知らないんですが、これを機に色々聞いてみたい。

ここでもユゥジ√が確定したときからずっとDeathに振るようにしたので、大分浸食されたユゥジを見ることが出来ました。初っ端から俺のモノを壊していいのは俺だけと言ったり、敵のことを雑魚、タクトのことを道化と呼んだりかなりカッ飛ばしてます。

ディバイザーに大分浸食されながらもユゥジは最終決戦に挑みますが、やはり最初に脱落してしまうのはヒロくん。ここでも彼は真っ先にやられてしまうのか・・・・・・。タクトの一件もあり、もう何も失う訳にはいかない、と決断した矢先に失うのが誰よりも気に掛けていたヒロだというんだから、ユゥジの気持ちを考えるとつらいです。普通だったらきっとここで心が折れてしまうな。

ヒロの死をきっかけに、守れなかった自分の弱さに強い怒りを覚えたユゥジは、その感情のままリ・ハーモナイズして敵を一撃で倒します。ユゥジの圧倒的強さの前に、タクトも一瞬で敗れ「貴方なら確実にアキラを守れるのだろうな」と消滅。このままいくとカズキの紅エンドで見たのと同じく紅の世界に染まるんだろうな・・・・・・と思ったんですが、そこは流石王の器と言うべきか、また違う展開が待っていました。紅の世界と青の世界、どちらかを選択する必要などない、捨てるモノなどなく、すべてを受け入れる、と本来切り捨てられるはずだった青の世界ごと吸収し、まったく新しい世界を造ってしまうのは本当に驚きだった。カズキの青エンドでも音楽がナイトフライオノートにも受け入れられる世界があったので、アキラが選んだ人の意思や願いによって世界が変わるというのはなかなか興味深いです。ただまあ、これはユゥジとディバイザーだったから出来たことって感じはする。全てのものは自分のものだと本気で思っていなかったらこんなことは出来ないよね。

そんな感じで残っていたナイトフライオノートも全てユゥジに従い、すべてのものが平伏し従属するって感じのエンディングでした。青の世界も消えないし、これはこれでアリなんじゃないかなって思ったんですが、これ・・・・・・アキラの気持ちがよく分からない。完全に浸食されたユゥジとの会話も普通にしてるし、受け答えはしっかりしてるはずなんですけど、いいなりというか、為すがままって感じで。アキラ本当に幸せなのかな・・・・・・とか考えてしまう。いや、私の考えすぎかもしれないけど。

ディスタンス・アゲイン

個別√に入ってからのユゥジはもう腹を決めているので、それまで以上にストレートにアキラに想いを伝えてくるんですけど、最早この時点で彼氏を通り越して旦那面がすごいいや、いい意味で。タクトにも「こいつはもう俺じゃなきゃだめなんだ」とか言うし、「俺の家族になってもらう、拒否権はない」とか言ってくる。アキラも満更でもない感じなのが見ていてにやにやしましたけど。ユゥジは結構キザなとこがあるって知ってましたが、

「この戦いが終わるまではお前は俺を扱う者だ。指示は任せたぜ」

「ただし戦いが終わったら、そのあとのお前の人生の指揮は、俺に執らせてもらう」

の言葉には悪いけど笑ってしまった。そういうクサい言い回し、好きだね~~!だから親父くさいって皆に言われるんだよ。

今から最後の戦いというときに、アキラが「ありがとう、ユゥジくん・・・・・・いえ、ユゥジ。やるわよ」って言うのがめちゃくちゃ熱くて好きです。

終盤は紅エンドの途中までと概ね似たような感じで、第六戦闘ユニットの面々がどんどん脱落していってアキラもピンチに追い込まれるという状況でユゥジがリ・ハーモナイズします。守る為に強い力を得るのには変わりないけど、その過程が紅と青じゃ微妙に違っていて面白い。ここでもタクトと最後の会話があるんですが、その会話がやはりユゥジという人間をよく表わしていると思います。たとえ敵になったとしても、そんなタクトすらも守りたかった。タクトもユゥジも、アキラのことを守りたいということだけは同じだったのに、何処で道を違えてしまったのか。タクトの間違えに気付けなかったと、謝罪をしてしまうのがユゥジらしいです。

シークレット・トラック「ディスタンス・アゲイン」では、ユゥジの実家ハコダテで家族の一員として共に生活を送っているアキラ。ユゥジの家族たちとも仲良くやれているみたいで、やりとりにほっこりします。あと、紅エンドの「妃」呼びにもビビりましたがこっちの「嫁さん」発言も大分すごかった。ユゥジは本編中プロポーズ紛いのことを何度も口にするけど、ようやく正式に、と改めてプロポーズ。指輪を渡されます。

家族を知らないアキラがこういう大家族の中で生活していくのは大変だろうけど、ユゥジと一緒ならこれからも新しいことばかりの楽しい日々を送れるよね。

 

Track10だったかの戦闘中、個人的にすごく好きなやり取りがあるんです。

サンセットブルーバードの夕陽後なので、ユゥジは再び何かを守れずに失ってしまうことを恐れているんですけど、そんな彼に対するアキラの言葉。

f:id:sasakure_M:20200515171207j:plain

下を選ぶとDeath、上を選ぶとLoveが上がるようになっているんですが、この「そんな覚悟、できないくせに」ってのがめちゃくちゃ好きで。ユゥジの全てを守りたいという気持ちと、でも大事なものを守れなかったという状況での痛いとこをつくこの言葉ですよ。一見すごく冷徹な言葉ですけど、失う覚悟なんて出来るわけがないユゥジをアキラは認めているんだなーとか思ってこう・・・・・・良かったです。うまく言えないけど。

大事なものがあればあるほど、人間は身動きが取れなくなっていくもので、それが「弱さ」とか「甘さ」にもなることを勿論分かってはいますが、ユゥジはやはり「守る為に強くなる男」なので。その弱さを強さへと変えられるユゥジが、私は好きです。

 

にほんブログ村 ゲームブログ 乙女ゲー(ノンアダルト)へ
にほんブログ村