ささくれ備忘録

主に乙女ゲームの感想・考察を書いています。

BUSTAFELLOWS(バスタフェロウズ)ネタバレ無し感想・総評

BUSTAFELLOWSを一番最初に知ったのは、多分Twitterでした。キャラクターやナレーションをされている声優さんたちが呟いていて、「へーこんなゲーム出るんだー」くらいの気持ちで。色々調べていくと、攻略対象に福山潤さんがいたので、俄然気になり始めて。絵もなんか見たことあるな、って調べたらすめらぎ琥珀さんが原画担当とのことだったので、すごく驚いた気がします。男性向け界隈で有名な方なので、乙女ゲームのイメージは全くなくて……。でも、男性向けをよく描く人の男性キャラクターって何処か色気があって、カッコよくて素敵なんですよね。

先日サイン会があり、ご厚意でそのときのペーパーがネットプリント出来たんですが、私も勿論プリントしてきました。

私はやっていないんですが、前作にあたるゲーム「Side Kicks!」の原画も担当されてたみたいですね。いつかやってみたいなー

 

世界観

舞台はアメリカ東部の街・ニューシーグ。ニューヨークがモデルなのかな?と思ったけどニューヨークも別に存在しているみたいで、ちょっと謎。海外ドラマモチーフらしく、全体的にオシャレでカッコいい雰囲気。チャプターの最初に挟まれるアイキャッチと次回予告が本当にそれっぽくて、ワクワクする。ゲーム内で度々登場する行きつけのバーやカフェの設定もしっかり作り込まれていて、世界観を損なわない。海外ドラマではよく、登場人物が中華料理のデリバリーを頼むという「あるある」があるけど、そこもちゃんと押さえられています。テキストウィンドウを調節して透明にすると、まるで洋画を字幕で観ているような気分にも。ゲーム内で見られるアーカイブが凝っていて、見返すのも楽しいです。

背景もそれぞれ綺麗・丁寧に描かれていて、シーンに合った背景で良かったな。雑然とした街中とか好きです。

そして何より、BGMが本当に素敵で。次回予告などでも流れるメインテーマ曲の「BUSTAFELLOWS」が最高で、デラックスエディションを買った理由のひとつがこのサントラ欲しさだったりします。ゲーム内で何度も聴けるんですけど、やっぱりCDとして手元に欲しいなと思ってしまったので。また、このテーマ曲のアレンジBGMもいくつかあって良かったです。私の好きなゲームのメギド72やドキドキ文芸部もそうなんですが、メインテーマのメロディをそのままにアレンジしてくるやつに弱い。エンドクレジットで流れる「Beautiful evil within you」が特にお気に入りです。

BGMがゲームを盛り上げてくれるので、本当に曲聴いてるだけでもワクワクします。実は今そのサントラ聴きながらこの文書いてたり。

 

システム

 基本ノベルゲーなので、選択肢を選んでいく感じ。まあ乙女ゲームによくあるやつ。時間制限のある選択肢で「選ばない」という選択もあるのが特殊です(どこのHUNTER×HUNTERだよって感じですが)が、あまり物語上での影響は無かったかな。

背景の街頭ビジョンが一部動いたり、蒸気が出ていたり、背景も凝っている印象。アダムがニュースキャスターをやっている「ゼロアワー」のシーンがゲーム中度々登場するんですが、ニュースが入る前の映像みたいなのもちゃんとあってこだわっているなーと思いました。あと、ニュース中のアダムのスーツが結構バリエーション豊富でそれも割と楽しみだったり。

選択肢が出ているときにセーブをすることが出来ないので、大事な選択肢でセーブを取っておきたい場合はちょっと戻らないといけないのが少し面倒かも。バックログからすぐ巻戻ることが出来るので、それほど面倒という訳ではないけどちょっと一手間ある感じかな。スキップは二種類あって、既読であれば次の選択肢の部分まで一気に飛べるジャンプスキップと、早送りみたいにバーッと流れるタイプのスキップがある。実は、私がプレイした際はこのジャンプスキップ、そのチャプター中で次に選択肢がない場合は使うことが出来なかったので大変不便だったんですが、アップデートがあったようでチャプター終了の手前まで飛べるようになりました。なので、今は周回プレイもすごくしやすいんじゃないでしょうか。

物語中の選択などによって「メモラビリア」というトロフィー代わりの称号みたいなのが貰えて、それを集めることによって解放されるエクストラエピソードも。ストーリー中出てくる場所や物・人を解説してくれるアーカイブ集めは楽しかったし、結構サブキャラクターなども多いので本編中見返したりして把握するのに色々と助かりました。

 あと、UIっていうのか、それもスタイリッシュで世界観にとても合っていたなと。攻略していくごとに√が解放されて、名前が並んでいくんですけど、最後、真相√が現れてぴったりと収まる、あるべき形になったときは、すごく感慨深い気持ちになりました。

 

主人公 テウタ

「変えられる」主人公と公式で表記されている通り、時間を遡って未来を変えられる能力がある。ただ、この能力万能ではない。数時間前までの、自分ではない他人の体にしか入ることは出来ない。なかなか他人に信じて貰うのが難しい能力です。

性格は明るく快活、ジャーナリストとして真実を真っ直ぐに追い続ける強い意志のある子。住む世界が違うような人でも、「理解はしたいと思っている」とはっきり口に出す。この台詞が、テウタという人をよく表わしているんじゃないかな。すごく魅力的な子なので、攻略キャラクターたちが彼女のことを好きになるのも分かる。

珍しく、きちんとボイスのついた主人公です。キャラクターたちとの軽快なやりとりにもがっつり参加します。やっぱり、文章だけだとテンポの問題もあって寂しかったりするので滅茶苦茶嬉しいです。

ゲームを終えてみて、色々思ったのですが彼女はずっと「考え続ける」ことが出来る人なんだなと。正義とは、悪とは何なのか、板挟みになりながらも足掻いて、踏ん張ろうとする、その為の努力を惜しまない。走り続けて、立ち止まらない。ゲーム中リンボが確か似たようなことを言いますが、BUSTAFELLOWSって結局そういう話だったよね。

 

キャラクター

攻略対象全員、本当に素敵で苦手なキャラクターが一人もいなかった。皆それぞれの個性と魅力があり、乙女ゲームをする上で重要な恋愛部分や過程も全然違っていて良かったです。後日キャラクター別の感想でしっかり書くとは思いますが、とあるキャラクター二人の、好感度が上がる選択肢の傾向が真逆で面白かった。

共通のチャプターでそれぞれのキャラクターにスポットを当てるような話が続くので、そこで全員の性格を掴むことが出来ます。皆との共同生活って感じの、わちゃわちゃした会話が本当に楽しい。全員仲が良くて、家族みたいな距離感が心地よいです。

最初、一番に気になっていたのはモズで、その次が顔が好みだったのでヘルベチカだったんですが、全√プレイすると本当に全員同じくらい好きになってしまって、もう決められない。箱推しです。個人的なシナリオの好みで言うのであれば、シュウ>リンボ=モズ>ヘルベチカ=スケアクロウかな。BADエンドの好みとしては、リンボ>ヘルベチカ>モズ>シュウ>スケアクロウといった感じ。シュウは最初そこまで期待はしていなかったキャラクターだったので、その分シナリオでグッとくるところがあり過ぎて上位に躍り出ました。色々とずるいキャラクターだなあと思います。どのキャラクターも勿論、全員素敵で格好良いんですが、私はシュウにやられてしまった。彼の√を終えた後、シュウのこと幸せにしたい・・・・・・シュウ、幸せになれ~~とめちゃくちゃ呻いてました。今までずっと殺伐とした世界に身を置いていた分、長生きしてテウタと二人幸せになって欲しい。

サブキャラクターたちも皆個性豊かで、魅力的な人ばかりだったなと思います。個人的なお気に入りとしては、見た目や中の人ひっくるめてヤンが一番好きでした。ヤンとシュウが二人で語り合うシーンがあるんですけど、そこが本当にグッときた。

 

イラスト

安定のすめらぎ琥珀さんなので、何処をとっても美しいです。乙女ゲームを色々やっていると、体のバランスがおかしかったり肩幅が広すぎたり足が折れそうなくらい細かったり、なんてのはよくあること(最近はあまり見かけませんが)ですが、そんな心配なんていらないくらい全部綺麗です。ちゃんと中身が詰まっていて、地に足ついてそうな体格をしているので安心出来ます。

珍しいと思ったのは、テウタや攻略キャラ全員に後ろ姿の立ち絵があること。がっつり後ろ姿の立ち絵なんてのは遙か3のリズ先生くらいのもんですが、顔の見えない斜め後ろから俯瞰したような立ち絵があるのはかなり新しいんじゃないでしょうか。

あともう一つ珍しいなーと感じたのは、キャラクターたちが水着を着るシーンがあるのですが、ちゃんと男性キャラクターの乳首が描かれていること。こういうとき、大抵は省略されて厚い胸板だけ描かれることが多いので滅茶苦茶びっくりしました。しかも、攻略キャラ五人のうち二人が乳首滅茶苦茶ピンクなんですよ。確かにこいつは絶対ピンクだな・・・・・・と納得出来る二人なので、こだわりを感じました。なんか乳首について熱く語っている人になっていますが、まあそれだけ驚いたってことです。

 

攻略順

攻略制限がかかっているキャラはいないので、公式が言っている通り誰から攻略しても物語上問題はありません。「アルカナ・ファミリア」でのジョーリィ√でルカの秘密をバラされる、みたいなことはない。

私はスケアクロウ→モズ→シュウ→ヘルベチカ→リンボの順で攻略しました。最初、どんな感じで分岐するのか全く分からなかったので自分の思うがままに選択してクロちゃん√になったんですが、途中の性格診断的なやつからするとクロちゃんと感性が似ているってことになるんだろうか。どの√に入ったか確認できるイベントは三つあって、新人賞の結果を見るイベントと、猫の名前を決めるイベント、そしてテウタの水着を誰が選ぶかで分岐があるみたいです。主人公の水着差分が攻略対象の数だけあるのは斬新で驚いた。個人的には、クロちゃんが選んでくれた水着が一番可愛くて好きでした。

 

総評

全体的に完成度が高く、まとまっています。乙女ゲームとしてはサスペンス的な部分が強いですが、伏線もちゃんと回収されて、風呂敷を畳めず仕舞いなんてことはありません。あんまりにも真相まで全部綺麗に回収されてしまったので、FDが出る見込みは無さそうということだけが残念です。この作品だけで完結しているので、FDを出そうにも蛇足的な感じになってしまうと思うんですよね・・・・・・。とはいえ、ステラワース特典のBAD後日談が良すぎたのでこのシナリオライターさんであれば全然蛇足に感じないのでしょうが。

恋愛部分の糖度については、キャラクター差はあるもののちゃんときゅんきゅん出来るイベントも多いので、そこらへんの心配もないです。各キャラクターの√本編であるside:Aと、ハッピーエンド後が描かれるside:Bが用意されているというのもくっついた後が気になる人間としては嬉しい。くっつくまでの過程もすごくすごく好きなんですけど、やっぱりエピローグ的な部分もちらっとでも見せてくれるのが良いですね。

今まで、そこそこの数の乙女ゲームをプレイしてきましたが、かなりの飽き性なものでなかなか全員コンプリートまでいかないというか、目当ての人物を攻略してしまったら放置、結局コンプリートするのに何年もかかる、ひどいときには買って満足して触りだけやってずっと積みゲー・・・・・・なんてことが多いです。そんな私が、飽きることもなくコンプリートまで駆け抜けることが出来たので本当に面白いゲームでした。あんまり好きじゃないキャラクターがいるとコンプリートするのも作業みたいになってきて苦痛だったりするんですけど、BUSTAFELLOWSは嫌いな人が一人もいなかったのでそんなこともなく。単純に分岐が分かりやすくコンプしやすいってのもあるとは思いますけど。

「あざやかな悪に染まれ。」というのが本作のキャッチコピーですが、テウタを含めたメインキャラクターそれぞれのイメージカラーが皆結構ビビッドなんですよね。リンボは一人、黒がイメージカラーのようなのでまた違った立ち位置っぽいですが。キャラクターそれぞれをあざやかな悪として、狙ってそういう配色にしている気がしないでもない。

久しぶりにめちゃくちゃ良いゲームに会えたなあと思います。真相のことを考えるととてもとても辛いんですけど、でもその辛さがBUSTAFELLOWSだよね。

 

 

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